人と付き合うように 相性を見極めて家具を選ぶ
座り心地の良いソファを見つけると、必ずマネージャーや身近なスタッフに声をかけて一緒に座る土屋さん。「ね、めっちゃ良いでしょ?」と嬉しそうに語る様子は、まるで親しい友人のことを話しているかのようでした。
長い年月を共にする家具は、土屋さんにとって大切な“同居人”。自分と相性の良い同居人を見つけるには、“勘と経験”だけでなく、“共に関係性を創っていく”気構えも大切だと教えていただきました。
これ欲しい! 土屋アンナセレクトアイテム
カウチソファ 「フレミング model.CO-2462」
しっとりしなやかで、リッチな手触りの革を纏ったイタリアデザインのローバックソファ。背もたれと座面はフェザーを加えたクッション仕様。柔らかい革に、フェザー特有のしっとりとした座り心地が加わり、身体をやさしく包み込みます。
ソファ 「ligne roset ロゼプルム」
アートのような見た目と座り心地のギャップに、ぐっときました。赤に目が惹かれてなんとなく座ってみたけど、思わず「ヤバッ」って声に出ちゃった。どの位置に座っても体にフィットして支えてくれるので、気持ち良いです。デザインだけでなく、機能性までよく考えてつくられていることがわかります。デザイナーのブルーレック兄弟、天才!
フランスのライフスタイルブランド「リーン・ロゼ」。高密度のウレタンフォームをベースに、ストレッチ生地を使用した「ロゼプルム」は、ソフトで弾力のある座り心地を体感できます。リラックスできる雰囲気ながらも品がある、ころんと丸く角のない美しいラインが魅力です。
一生付き合いたい家具と
出会える場所
――有明ショールームはいかがでしたか。
家具1つひとつの良さがすごすぎて、サラッと見ることができませんでした。具体的な目的があってここに来ていても、その目的が変わってしまいそうな……想像以上のものがありすぎて楽しかったです。子どものオモチャも、すぐダメになって仕方ないものもあれば、一生取っておきたいオモチャもある。このショールームには、後者のように一生取っておきたい、使い続けたいと思える家具が揃っている印象です。ここでは、自分の肌に直に触れさせて、相性がバチッと合うものを、時間をかけて選びたいと思いました。
――気になるソファにはすべて座って、感触を確かめられていましたね。
その人が感じる“心地よさ”って、体格やその人自身が育ってきた環境によって違うと思うんですよ。例えば私は背が高いから、ゆったりとした奥行のあるROLF BENZ(ロルフベンツ)のソファは座り心地が良くて、自分の体との相性の良さを感じました。そんな風に、ブランドが自信をもってつくってくれた心地よさと、自分が感じる心地よさが合致したら、その家具と相性が良いって考えて良いのかなって。 有明ショールームは、ブランドやインテリアのテイストなど分けて展示されているから、違いがわかりやすかったですね。機能性やブランドの個性を実際に体感してから、説明を聞くと「確かに」って納得できます。ショールームならではの体験ですね。
同居人として家具を迎え
関係性を築いていく
――土屋さんが家具を選ぶときに、どんな点を重視しているのでしょうか。
美しいデザインはもちろんですが、永く使えるか、愛着が湧くか、を見ますね。
――“永く使えるか、愛着が湧くか”はどのように判断するのでしょうか。
相性とか、感覚的な部分もあるけど、結局はこれまで家具と付き合ってきた「経験」で判断していると思います。例えば、デザインや色が好みだったけど、実際は使いにくかったという経験とか、自分の体格や生活に合っていて心地よさを感じた経験とか。
――失敗も成功も、すべて経験として蓄積されていって、それが判断材料になるんですね。
そうそう、人間の付き合いと一緒。初対面で「あの人良さそうだな」って思っても、なぜそう思うのか、意味わかんないじゃないですか。でも具体的な理由が浮かばなくても、なんとなく勘?でわかる(笑) 30年以上生きていると、そういった判断力が備わっていくと思うんですよ。でもそういう感覚的な判断には、これまでの経験による裏付けがあるのかなと。 だから自分のこれまで積んだ経験を信じて、感覚で判断してみればいいんじゃないかなと思います。
――買ってみたけれども、やっぱり使いにくかった家具とは、どのように接していけばいいでしょう。
買ったものが使いにくかったとしても、毎日接していると、その中で愛していっちゃう部分があると思うんですよね。不便さを愛おしいと思うような。そこから、その家具の特徴に合わせて使い方を変えるとか、 自分たちで関係性をつくり上げていくって考えれば、楽しいんじゃないかな。
汚れてもいい!
覚悟を決めて「これが好き」を選ぶ
――家具と人を同じように見るなど、土屋さんはとても愛情深い方に感じられます。
いやいや、そうでもないですよ。モノとか超雑に使っていますよ(笑) 私の中で、雑に扱う=愛している、なんで。お気に入りのジャケットこそぶん投げるし(笑) でもそれが格好良いのかなって思っています。そもそもうちには6匹の猫と小さな子どもがいるので、家具を丁寧にキレイに保つことができないんですよね。
――私ならどうせ汚れるからと、高い家具を買うのをセーブしてしまいそうです。
そうですよね、革のソファも猫たちが爪とぎしちゃうし。でも家具を猫のために妥協するかというと、私は全然そんなことしません。爪とぎされちゃうのはわかっているけれども、「これが好き」というものを選びたい。ソファの革がやぶれちゃったら、張り替えればいいんです。一緒に住んでいる生き物は変えられないから、ソファさんたち申し訳ないけれど「よろしく~」って(笑)
――覚悟が決まっているんですね。
受け入れる覚悟は決まっています。 同じ値段がかかるんだったら新しいものを買い変えちゃうと考える人もいるだろうけど、そのソファが好きだから、張り替えを選びます。この前も、何十万もかけてソファをレンガ色から水色の革に張り替えましたが、すぐ爪をとがれたからね(笑) それが家具と私の間でつくられていく関係性だと思うから、 色を変えるなど遊んで、その家具と永く付き合っていきたいですね。
連載シリーズ
土屋アンナ モデル・歌手・女優
1984年3月11日生まれ、東京都出身。 1998年デビュー。モデル・歌手・女優など職業の枠にとらわれず幅広く活躍。3月10日にブルーノート東京にてバースデーライブを開催。3月17日公開となる映画『長ぐつをはいたネコと9つの命』日本語吹替版に出演。また、3月28日にはスペシャルアンバサダーを務める『Change Makers Fes』に出演し、国内外の社会課題に対してアクションを起こした子供・若者にエールを送る。プライベートでは二男二女の母でもある。
ソファは革派ですが、この質感はめちゃくちゃ好きです。柔らかすぎず、ちゃんと硬さもあって、何よりも肌が革に触れたときによく馴染む感触が心地良いですね。全身を預けても沈み込み過ぎないで、ちょうど良い。高級感があるけど親しみやすいシンプルなデザインは、持ち主によって表情を変えてくれそう。きれいに使っても雑に使ってもその人らしい味が生まれそうですね。